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PORTRAITS - A New Expression of PORTRAITS / 2 - 31 March 2013

Statement - ステートメント

Singapore International Photography Festivalで見つけたネオ・ポートレイト

2012年9月1日よりシンガポールにて開催された第3回シンガポール国際写真祭に杉山がレビュアーとして招待されました。
アジア各国、またアジアに拠点を置き活動する欧米のアーティストなど、優れた表現者がこの写真祭には参加しており、第3回という若い写真祭ですが、将来実りある写真の枠組みに育つ可能性を感じました。

今回theory of cloudsでは、この写真祭で出会った数多くの写真家から、ポートレイトを中心に撮影する5名の写真家を選び展示します。

参加写真家

Sean Lee / Melissa Moore / Hu Qiren / Eiffel Chong / Xavier Comas

theory of clouds/Gallery TANTO TEMPO 杉山武毅

Sean Lee

Touch

Lifted Head.jpg
ⓒSean Lee
Sean Leeにとって両親はかけがえのない家族だ。あるとき、両親が以前ほど仲良くないのではないかと疑うことがあり、それ以降Seanは両親を撮影することにした。彼は撮影の際、両親に触れ合うことを要求し、両親もしぶしぶそれに応じていたという。しかし、回を重ねるごとに両親も自然に打ち解けて写真の前でポーズをとるようになり、今では以前見かけたようなふれあいを見せる。Seanが仕掛けた愛のポートレイトが両親の結びつきを強くしているという。Sean Leeの勝利と言える。

Artist Page

Melissa Moore

Land ends

melissa12.tiff
ⓒMelissa Moore
Melissa Mooreのこのシリーズは、奇妙な風景の中に自らの身体をおいて撮影したセルフポートレイトと言える。風景はどれも信じられないような不思議の場所であり、あらゆる固定観念が見たものの中から引きはがされるのはまさにこのためである。身体のすべてあるいは一部がその風景の中におかれるのは、不思議の場所で不確かなストーリーの役を演ずるためであり、どのようなストーリーかは観客のイマジネーションにゆだねられている。しかし、いずれにせよ、ストーリーは不穏であるが故に、不思議のクラスが一つも二つも上がってるのが相乗効果といえる。

Artist Page

Hu Qiren

Mian Xiang: Stories Beyond the Portrait 2012

Mian-Xiang-Tim-Lai-Teep-(large).jpg
ⓒHu Qiren
Hu Qirenの作品は、ひとりの人物を中心にさまざまなイメージやテキストが赤いヒモで結びつけられているインスタレーションである。顔貌をもとにした一種の運勢占いとも言えるもので、中心にあるのが占いの対象であり、中国に古くから伝わる顔相のルールを適用して人間関係をひもといていくという複雑な行程で作品を作っている。ひととひととの関わりを視覚化することはとても困難だ。しかし、多くのアーティストがまさに行おうとしているのは実はこのひととひととの関係性の視覚化である。そのことを考えると、Hu Qirenの作品は、まさにこの点に親和する。顔相の中でも、顔のそれぞれのパーツが指し示す関連するイメージを配置することで一連のイメージの中でその人物のひとと柄を説明しているのだ。

Artist Page

Eiffel Chong

Royal Malaysia Police

Police #2.jpg
Eiffel Chongは写真の時制と、対象となった人物の肖像に注目して作品を制作している。彼がこのシリーズに使った写真は、かつてどこかで撮影された見ず知らずの警察官のプロファイルだ。写真は黒ずみ、あるいはカビがはえ、もともとの肖像を著しく見にくいものにしている。肖像からは個としての存在すら見てとれない、まさにGhostのように輪郭のみが残っているにすぎないものもある。これらの肖像は果たして本当に撮影された本人の肖像だろうか?ひょっとすると、過去時制の渦に巻き込まれたこれらの警察官は実際のところ、存在だにしなかった幻影だったのではないか?

Artist Page

Xavier Comas

Noe / TOKYO UP, DOWN

NoeII.jpg
Xavier Comasの作品は、正統派のポートレイトと言えるので、特段新しい表現とはいえないかもしれない。撮影されているのは、ひとりの日本人女性だ。女性の佇まいから、写真家とのプライベートな関わりがうかがえるが、なにより、女性の表情や肢体にみなぎる強さが写真の美しさを際立たせている。親密さが写真に力を吹き込む典型的な例といえる。一方のシリーズは、東京のエレベーターが映し出す都市のポートレイトだ。東京にはおそらく世界で一番数多くエレベーターが存在し、その多くは超高速の階数の多いものだ。その中にいるひとびとの肖像こそ、都市のポートレイトといえるものだ。

Artist Page